- 翻訳会社のプロジェクトマネージャーがお仕事を依頼したくなる翻訳者とは?
こんにちは。
プロジェクトマネージャーチームの服部です。
このコラムを読んでくださっている方の中には、翻訳や通訳のお仕事をされている方も多くいらっしゃるかと思います。
弊社は大手と比べると小規模な翻訳会社ではありますが、それでも延べ900名近くの翻訳者・通訳者が登録しています。翻訳会社としては一人でも多くお仕事を依頼し活躍して貰いたいという気持ちがありますが、プロジェクトマネージャー3名で案件を回しているため全員に平等には発注できていないというのが実際のところです。
お客様から頂くリクエストの中には作業方法や納期までのスケジュール、予算、訳文に求められる品質・知識量・好み等があり、様々な要望に合致する作業者を選定する必要があります。納期までの限られた時間で進めていかなければならず、声をかけさせて頂く優先度が高い翻訳者が決まってきているのも事実です。
そこで今回はアイコスで長きに渡って活躍されている方々に共通していることをご紹介したいと思います。この記事を読んで現役翻訳者の皆さんは是非お仕事獲得のヒントにして頂けると幸いです。
後半では弊社がこれから積極的に増やしていきたいと考えている翻訳者についてご紹介します。近年の翻訳業界のトレンドとも関連しており今後翻訳業界全体で求められる知識や経験についてまとめてみました。あくまでも一例になりますが参考にして頂けると嬉しいです。- 依頼したくなる翻訳者とは?
アイコスで多くの案件をご依頼している方々に共通していることとして今回は2つピックアップしました。
1つ目は「メールの返信がスピーディーでコミュニケーションを円滑に進めることができる」人です。作業者とのスケジュール調整は案件の進捗管理の第一ステップでありプロジェクトマネージャーは速やかに適切な作業者を確保する必要があります。連絡が取れない状況を避けるためにも自然とレスポンスの早い方が候補に思い浮かびます。返信がないまま時間が経過してしまうとメールを見たかどうかが分からないため、他の人へ問い合わせをするしかありません。暫くしてから対応可能の旨をご連絡頂いてもその時には既に他の人を手配済みでお断りせざるを得ない状況が起こってしまいます。
とはいえ作業者の方々にとっては速レスで「出来る」と毎回案件を引き受けることはとても難しいと思います。「出来る」「出来ない」に関わらず、取り急ぎの回答を返すことでプロジェクトマネージャーにはメールを見ていることが伝わります。
弊社では「出来ない」場合でもメールの返信をスピーディーに行っている方々が長く活躍されています。
2つ目は「より良い納品物に仕上げようという意識で翻訳に取り組まれている」人です。案件によっては原稿の他に参考資料や用語集、仕様書が存在することがあります。翻訳者のお仕事は翻訳と同時進行で資料を参照し、全体に渡って語彙の揺らぎが発生しないように用語の統一を図る必要があります。
翻訳者の方々からは納期を守りながらも誤字脱字、訳抜け、数字の正誤、案件毎の表記ルールや定訳に注意しながらより良い納品物ができあがるようブラッシュアップの意識でお仕事に向き合われているプロフェッショナルな姿勢がひしひしと伝わってきます。
また、案件の途中で個別に質問を頂くこともあります。基本的には速やかに社内で調べ、場合によってはお客様へ確認をしていますが、流れるような短納期の案件ですと回答が間に合わないことがあります。必要に応じてコメントを残す等、納品時にプラスアルファの申し送りを頂くことで私たちもお客様と連携が取りやすくとても助かっています。
フィードバックが発生した場合には必ず次回の翻訳に活かして毎回お仕事にひたむきに取り組まれている翻訳者さんが長く活躍されているのだと思います。- 今後必要となる翻訳者とは?
トランスクリエーションができる
弊社では最近、動画字幕の案件が以前と比べて増えてきていることから、トランスクリエーションができる翻訳者は重宝されています。動画の尺に合わせてわざと訳文を短くする等、限られた文字数の中で必要な情報を伝えることができるスキルが求められています。また、直訳的に伝えるのではなく書かれている文章全体の意味やニュアンス、伝えたいメッセージを重視して自然な文章にすることや、ネイティブライクな表現等、お客様からは翻訳者の感性が求められるようなお仕事のご依頼を頂くこともあります。
CATツールが使える/未経験でも挑戦できる
翻訳業界では機械翻訳やAI翻訳が加速しており、弊社も人力翻訳×機械翻訳のハイブリッド型の翻訳に力を入れています。翻訳会社としては人力翻訳の他に機械翻訳にも対応できることで幅広い選択肢の中からお客様に最善の方法を選んで頂けるようご提案の幅を増やしていくことが重要であると考えています。何故なら、納期の短縮化や翻訳の精度向上が見込めれば今後より一層機械翻訳のニーズが高まってくると考えるからです。
アイコスではphraseやTrados といったCATツールを活用しており、これらのCATツールを使える人や過去に使用実績がなくても柔軟に新しいツールにも挑戦して頂ける人だとお仕事を依頼しやすいです。どんな業界や分野でも共通することですが、未経験でも積極的に学ぼうという意欲があるととても有難いです。
専門分野を持っている
弊社で登録をご案内する際、経歴は問わないですが専門分野が分かりやすい翻訳者は登録後に実際のお仕事を依頼しやすいです。アイコスでは専門性の高い文書の翻訳案件が増えているため知的好奇心が旺盛でいつもアンテナを張って学ぶ意欲の高い方々に沢山来て頂けると嬉しいです。どんな分野でも対応できるという翻訳者もとても魅力的ですが、例えば、「法律」「金融」「医療」といった専門分野をお持ちですと具体的な翻訳の案件をお願いしやすいです。
もし他の方とは一味異なる経験やご経歴をお持ちであれば強力なアピールポイントになりますので存分にストロングポイントとしてアピールして頂けると幸いです。
今回は弊社で長く活躍されている翻訳者の方々の共通点と翻訳者に求められている経験やスキルについてご紹介しました。
記事を書きながら私自身も改めてお仕事の進め方等を立ち返る機会になりました。
翻訳者の皆さんは案件獲得のヒントとなり、翻訳会社で働いている私たちの考えを知るきっかけとなれば幸いです。 最後までお読みいただきありがとうございました。