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寒い季節、こんなチャイはいかがですか

インドのお茶は日本でも有名ですが、その歴史は意外と浅く、1820年代に東インド会社がアッサムで大規模なお茶栽培を始めたことに始まります。それまでも土着のお茶はありましたが、習慣的にお茶を飲むようになったのは、やはりイギリスの影響でした。

インドのお茶と一言で言っても、アッサムティー、ダージリンティー等々、インドの地名の付いたいろいろなお茶が日本でも有名で、インドでもよく飲まれています。またインドの人々は“ティー”ではなく、“チャイ”がとても好きです。どんなお茶の飲み方をしているのでしょうか?意外といろいろな種類があるインドチャイをご紹介したいと思います。

マサラ・チャイの作り方

まず、一般的に知られているのがマサラ・チャイです。その作り方から始めましょう。

使うスパイスはカルダモン、シナモン、クローブ。原型のままこれらを軽くたたいて香りが出るようにします。スパイスについては、スーパーなどで「チャイマサラ」といって粉状になったものを売っていますが、スパイスはやはりホールを使うと香りが引き立ちます。これを水に入れて沸騰したら中火にし、スパイスの香りが立ってきたらお茶を入れます。水が全体的に茶色になってきたら、水より少し多めの分量のミルクとお好みで砂糖を加えて再度火にかけ、沸騰する直前で火を止めます。茶こしでスパイスをこしていただきます。

ここでインドのお茶の形状についてですが、チャイに使用するお茶は葉のままでなく、CTCと言って円筒形のローラーに茶葉を通し、茶葉を粉砕、引き裂き、カールさせて、小さくて均一なペレット状(ツブツブ)になっているものがほとんどです。

タンドール・チャイ(デリー)



次に見ても楽しい、タンドール・チャイの作り方です。素焼きのポット(クラド)をタンドールという窯に入れて熱します。タンドールから取り出したポットに少し濃い目のチャイを注ぎます。するとゴボゴボとポットの中でチャイが沸騰し、この煮立つ過程で砂糖がキャラメル化し、お茶にスモーキーな土の香りが足されます。まろやかでおいしい味に仕上がります。ぜひ、インドに行った際には試したいチャイですね。

カッティング・チャイ(ムンバイ)

普通のチャイより少し長い時間煮込んだ濃いお茶を、小ぶりのカップで半分の量を注ぎます。もともと二人で一杯のお茶を分けた(カットした)ことから付いた名前とも言われています。レストランで飲むより、街角のチャイハナ(お茶屋さん)で立って、ゴシップなど話しながら飲む方がおいしいです。

カワティー(カシミール)



ブラックティーに、カシミールで有名なサフランを加え、シナモンやカルダモン、ジンジャーなどをブレンドした少しスパイシーなお茶です。チャイと違うのはミルクを入れないで飲むところで、はちみつを入れても美味しいです。

スライマニ・チャイ(ケララ)



スライマニ・チャイはインド版レモンティーです。砂糖やミルクが入っておらず、レモンの甘酸っぱさ、紅茶の渋み、スパイスの香リが楽しめ、こってりした料理の後には嬉しいお茶です。もともとアラブ発祥とも言われており、ケララ州のマラバル地方などで広く飲まれています。

これらの他にも、地域や文化によってさまざまなバラエティがあるのがインドのチャイの魅力です。歩き疲れたりちょっと小腹が空いたら街角のチャイ屋で立ち止まり、熱々のチャイを地元のおじさんたちと雑談しながら一杯楽しんでみてはいかがでしょうか。インドのチャイは楽しみがいっぱい詰まっています。