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之を肆(ほしいまま)にせんのみ

週間ランキングで1位を取り続けている
映画「ボヘミアン・ラプソディ」を観にいきました。
映画館へ足を運んだのは1年ぶりで、
去年の11月に「ブレードランナー2049」を観たのが最後です。

中1の頃、はじめて自腹で買ったレコードが
クイーンの「オペラ座の夜」というアルバムでした。
その中に「ボヘミアン・ラプソディ」という曲が収録されています。
という訳で、少なからず、クイーンには思い入れがありました。


クイーンはヴォーカル、ギター、ベース、ドラムの
4人のメンバーで構成されるバンドで、当時はギターの
ブライアン・メイを推していました。
一方、ヴォーカルのフレディ・マーキュリについて、
当時若輩の自分はその偉大さを受けとめる器量がありませんでした。
いま、齢を重ねて得心のゆく、
フィレディ・マーキュリの偉大さを礼賛したいと思います。

Wikipediaによれば、出身はインド共和国マハーラーシュトラ州とあり、
親近感が増しました。
奇しくも弊社アイコスもマハーラーシュトラ州プネに拠点を構えております。


白皙の美男たちの中でひとり異彩を放つフィレディ。
ヒゲ、胸毛(背毛もあり)、半裸のタイツ、誇張した股間……、
一歩間違えば、悪趣味、珍妙、奇怪、変態野郎……などの
感想しか浮かばず、当時の自分は名状し難い嫌悪感を覚えた記憶があります。


なぜか年をとったいま、嫌悪感の源泉となったフレディ氏のすべての特徴が
敬愛すべき美点として受けいれている自分の変化に驚き、
むしろ、度量の大きくなった自分が誇らしく思えます。


傑出した歌唱力に加え、
問答無用の存在感、
反省のかけらもない美意識、
暴力的な自己陶酔。

彼のように生きてみたいと思いながら、
どれほど切望しても自分には到底叶えることのできない
個性への羨望があるような気がします。


中国の古典「史記 列伝」の中に偉人同士で長生きの秘訣を語り合っています。
「之を肆(ほしいまま)にせんのみ。」
つまり、自分の意のままに生きることで、
時間の長さは重要ではないという意味合いです。


反対に、百年生きようとも、
思ったとおりに生きられなければ長生きしたことにはならないと語っています。


フレディ・マーキュリは45歳で命の炎が燃え尽きましたが、
「長生き」だったのではないかと思います。