コラム詳細

“Gloriously human”「見事に人間」

こんにちは!コーディネーターの篠田です。
今年の夏もすっかりStay Homeで、いつの間にか秋が訪れてしまいましたね。
相変わらず引きこもりの日々ですが、我が家は4匹の猫たち(と2匹のハムちゃんズ)のおかげで退屈知らず、賑やかで楽しい毎日を過ごしています!

昔から猫飼いの私ですが、幼いころは犬を飼いたい!と切望したものです。
それが今では、(一緒に生活するなら)断然猫派になりました。もちろん、わんこも大大大好きなのですが・・・!
『赤毛のアン』で有名なL.M. モンゴメリーがこんなことを言っています。

“Dogs are too good and unselfish. They make me feel uncomfortable. But cats are gloriously human.”
「犬はとても立派で私欲がないので、私は気詰まりする。しかし、猫は見事に人間である。」

モンゴメリーさん、100%共感です。わんこの健気さをみて辛くなるあの気持ちは何なのでしょう。まさに、私にとっては“TOO good”なのです。
一方で猫様は甘えたいときに甘え、遊びたいときには遊べと騒ぎ、眠たい時は「放っておいて」モード。初めて会う人は苦手だし、ストレスにはけっこう弱い。
こんな「欲」と「弱さ」がみえるところに“gloriously human”を感じるのかな、と思います。

猫と人間の歴史

猫と人間の歴史はとても古く、紀元前6000年頃のエジプトでは、すでに猫が家畜化され始めていたと考えられているそうです。
(参考:Egyptians May Have Domesticated Cats Earlier Than Thought

エジプト神話に登場する「バステト」は猫の女神様で、猫はもはや神格化され尊ばれてきました。古代エジプト文化において動物のミイラは有名ですが、中でも猫のミイラは圧倒的に多いそうです。大英博物館を訪れた際に猫のミイラをみたのですが、他の動物に比べかなり丁寧に加工されていたのが印象的でした。

また、イスラム教を信仰する社会や国々でも、猫は「真のペット」として敬愛されています。預言者ムハンマドが「ネコへの愛は信仰の一側面である」といったとされており、猫は神聖化され、イスラム世界で古くから大切にされているそうです。
(参考:イスラームとネコ

魔女狩りと猫

猫と人間の歴史の中で、悲惨な時代が中世です。中世ヨーロッパでは「キリスト教の信仰を捨て、悪魔から得た魔力で人間社会に害毒を与えると信じられた者」を“魔女”として迫害していました。いわゆる「魔女狩り」です。そして猫(特に黒猫)は、魔女の使いだとして同じく迫害の対象となっていくのです。
「魔女狩り」が過激化していく中で、猫を飼っているというだけで魔女だとされ、飼い猫共々処刑されることも多かったといいます。

こうして猫は虚栄や魔術と関連づけられ、猫を生きたまま焼く「猫焼き」、猫を鐘楼から投げ落とす「猫投げ」など、魔除けと称したくさんの猫たちが犠牲になりました。
※ベルギー、イーペルの猫祭り「カッテンストゥッツ」は、この「猫投げ」で犠牲になった猫たちを追悼するために始まり、今では3年に一度の一大イベントになっているようです。
(参考:イーペルの猫祭り(ベルギー)

そんな猫にとっての暗黒時代も、17世紀末ころ「魔女狩り」の衰退とともに終わりを迎え、今では愛玩動物として全世界で愛されるようになりました。

さいごに

神格化してみたり迫害したり、猫たちはただ生きてるだけなのに、人間のイマジネーションによってさまざまに形を変えた猫との関係。
我が家は猫様に癒しと喜びと笑いをたくさんもらってますので、せめてみんなが快適に猫生を送れるよう、誠心誠意尽くして参りたいと思います。

最後までお付き合いくださりありがとうございました!